Niki's Sophia DLG

Airfoil

項目
仕様
翼長
1495mm
翼型
AG mod.
翼面積
22.6dm2
翼面荷重
14.5 g/dm2
構造
Glass-Balsa-glass Sandwich
可搬性

1 piece wing、2bolts

Tail
plane
翼型
Rudder : Symmetric Elevaor: Unsymetric
翼面積
3.6 dm2
etc.
全備重量
280-350g
装備
4 servos, 6 channel以上
胴体長
1135mm
Radina DLGのメーカNAN Modellsから、新型DLG Sophia が登場しました。名前は、ブルガリア生まれであることがわかるようブルガリアの首都と同じ名前にしました。Sophiaの特徴は、Radina DLGに比べ、(1)薄翼になったこと、(2)翼弦の増加による翼面積の増加、ハイアスペクト化、(3)フライングテールの採用、(4)胴体の強化という4点に要約されます。Sophiaは、Nikolayが開発しましたが、日本のハンドランチグライダー愛好家からの要望も取り入れたプロトタイプを作ってもらい、改良を重ねてきた成果でもあります。
ライバル機のFireworksを意識し、滞空性能をあげるため、主翼の翼型を、より薄い翼型に変更し侵入性(ぺネトレーション)向上を図りました。一般に薄翼化すると揚力が小さくなりますので、それを補うため、第2に翼弦(主翼中央部の長さ)を広げ翼面績を増やし、耐空性の低下を相殺しています。第3に最近の多くのDLGのようにフライングテールを採用しました。エレベータは、フラットでなく揚力尾翼になっており、うまく調整すれば耐空性の向上が期待できます。胴体は、より強化され、ごらんのような洗練された機体に仕上がっています。
Sophia DLGは、Radina DLGの後継機ではありますが、Radina DLGに取って代わるモデルではありません。むしろ、2機はまったく別のコンセプトにに基づく機体であり、それぞれ特徴があります。名前からくるイメージは、元気なRadina、優雅なSophiaですが,Sophiaの方が足が速いので、広い空域があった方が楽しめると思います。
設計/製造
Nikolay Nikolov / Nan Model. (Bulgaria) Mail to RC-sailplane.com
価格/販売
RC-Sailplane.com(日本)/価格:32,500円(税込)(ピアノ線、ガイドチューブ、指かけペグ付)(2007.9更新)
 ・ 部品セット(初めての人のために全ての部品を揃えたものです。):価格3000円(税込)(下の写真)注文生産です
 ・ オプションでRadina DLGヒンジタイプ尾翼セット(3500円)もあります。

TUN Modellbau(スイス)
/  HighlightX 価格360 CHF
 
Gallery
Kiyose Level flight Kiyose Kyose with moon
ラダー機と比べれば、Radina DLGは、ずっと足が速いと思いましたが、Sophiaは、もっとスピードをあまりおとさず、サーマルをゲットするような飛ばし方のほうが適しているようです。 この薄翼は、芸術的。薄翼にすると主翼製作の過程で「ねじれ」が出やすいものですが、優れたNan Modelの技術により、まったくねじれがでていませんし、剛性もあります。 青いSophia。高度60mの世界ですかね。月を背景に飛ばすのはなかなか粋なものです。
もっと見たい人は、こちら
Yamamoto/Moon Yamamoto Landing Sophia Yamamoto
山本さんの赤いSophia。翼端のクリスタル・レッド透明感が麗しい。背景にうっすらと見える月もいい感じですね。 着陸態勢に入った山本さんの赤いSophia 裏面もクリスタル・レッド。翼端の黒い部分は、カーボン補強された部分で、加納さんのコメントにより、右利きはもちろん左利きの人でもペグが立てられるようになっています。
Sophia Green Sophia Green Sophia Blue
白と緑は、最初には無かったカラーパターンでしたが、ディーラの強い希望で追加してもらいました。クロスタルグリーンもとてもきれいです。 緑のSophia.。精悍なフロントビュー。 空紺のSophia。最近のNAN Modelの機体配色は、水色と紺組み合わせが多い。Shadow, Radina2Mに使われています。同系色なのでしっくりしたカラーパターンです。
Sophia Green Sophia Green
赤いSophia。新緑の草をバックに麗しく咲くシロツメ草の花とよくマッチしています。 緑のSophia。撮影時は冬だったので草は枯れていますが、緑のSophiaが、新緑の草のように映えています。 緑のSophiaの裏面も、鮮やかなクリスタルグリーンです。
X-tail Rudder
水平尾翼は、フライングテールであり、ニュートラル位置を変更することは、主翼の迎角を変えるのと同等な効果を期待することができる。また、水平尾翼は上下非対称の揚力尾翼になっている。 フライングテールは、ニュートラルにガタが出ることが多い。このガタにより気持ち悪いくらいピッチングが発生するため、Nan Modelでは、トーションバーのようにバネを入れガタを解消している。これは1つの発明といってもよいアイデアである。 ブーム受け部分が、初めから尾翼に組み込み(ビルトイン)になり、カーボン補強されている。RadinaDLGのブームとラダーの接続は非常に面倒だったが、これで非常に簡単に接合が容易になった。現在のRadinaDLGも、この写真のように設計変更されている。
Pod
水平尾翼のリンケージは、たわみが厳禁。胴体Boomの中に収納する場合は、ガイドチューブを胴体Boom内面に接着する。 加納さんのようにリンケージガイドチューブを胴体ポッド後方から出しBoom外面に接着する方法もある。(尚、垂直尾翼のリンケージは、内装している。)

頑丈で軽い胴体は、高品質な仕上がりです。Radina DLGの胴体も良い仕上がりで、主翼を自作される方にも好評でしたが、Sophiaの胴体は、Radina DLGより遙かに洗練された出来映えです。

Sophia parts
平田氏による部品セット。初心者の方、製作よりは飛行を楽しみたいという方、ゴミをだすと奥さんに文句を言われる方には重宝します。セットのみでも販売します。Radina DLGの部品セットと同様に平田氏の職人芸でほれぼれする出来です。 前列2個がエルロン用、後列2個が、エレベータ、ラダー用で後列は前列より、沈めてインストールし、サーボホーン及びリンケージが互いに干渉しないようにしています。サーボは、厚さ8mmのOK模型のTS1002が最適です。これ以上厚いと苦労します。 エルロンサーボは、胴体に完全に平行にインストールするのではなくエルロンがスムーズに動けるように少し傾けてインストールします。角度は、実際にエルロンロッドを動かして決めます。2本のエルロンロッドは、図のように木のブロックで固定し遊びがないようにします。
Radio Gear Hatch
SophiaとRadinaの主翼は、こんなに違う。楕円翼に近い形にし、翼弦が大きくなり、翼面積が大きくなった。翼端は丸い形となったがアスペクト比は上がったため、高速飛行向きの機体となっている。
en-Route社の9gデジタル・サーボをインストールをした山本さんの機体。このサーボは、12mmと厚いので4個ともデジタルにするスペースはなくエルロン用に2個を上に配置しています。デジタルサーボはトルクが大きく、ニュートラル付近の遊びが少ないのが特徴です。 部品セットには、熱収縮チューブ(ヒシチューブ)が含まれている。胴体ハッチ押さえには最適。ポッド部とブームを接続する前にポッドにはめておくと無くさないで済みます。
重心は、好みであるが、前縁から約65-80mmで自分の好きな位置を決めます。写真の設定は強風用で、少し前重心にしてあります。 主翼の翼型は、AG modで、Radina DLGより薄翼になっています。(上がRadinaDLG,下がSophia)。翼弦が長くなっていることを考慮すれば、中央部で1mm程度薄くなっています。主翼後縁、翼端付近ではカミソリの刃のように薄く仕上がっています。 上半角は、Radina DLGと同じで、左右各4°となっており、主翼は172°の上半角となっています。
水平尾翼の取り付け部には、トーションバーのように働くバネをつけ、エレベータの遊びを無くしている。 エレベータには常に翼を跳ね上げる方向にバネの力が働き、エレベータのニュートラルポジションにありがちなガタを100%なくすことで、ガタが原因で起こるピッチングをなくすようになっている。 Sophiaの動翼は下ヒンジです。上ヒンジバージョンも試しに作ってもらいましたが、エアーブレーキのためには下ヒンジは必須なので、最終的に下ヒンジを採用しました。
Sophia Peg
強力なエアブレーキにするには、写真の黄色の部分を取り除きます。下ヒンジにはなっていますが90°までは下がりません。エルロン端は右の写真のように固定されているからです。 プロトタイプでは、Fireworksのようなペグがありましたが、モールド成形するために必要なコストと得られるメリット、デメリットと比較し、従来通りのペグとしました。 ペグをとりつけた主翼の下面。ペグをとりつける部分は、カーボン補強されています。翼端は、左端だけでなく、右端も同様に補強されていますのでサウスポーの人も問題なく飛ばせます。
Sophia color Mr. Kiyose
カラフルで洗練されたSophiaのカラー配色。翼端は、クリスタル・ブルー、グリーン、レッドで、高純度エポキシーで固化させているため、宝石のような透明感があります。 主翼は薄く塗装された上で、エポキシーで固められたシャーレ構造になっています。翼の色は、この6種類があります。 Sophiaフライヤー清瀬さん。Sophiaの飛びに満足した様子。月に向かってGO!。上の方にあった月との写真は清瀬さんのフライトです。
お馴染み、平田さん。平田さんのSophia製作は職人芸です。平田工場の自動Sophia修理ベンダーマシンの中には、平田さんが入っていて100円と壊れたSophiaを入れると修理されたSophiaが出てくるという噂。 Sophiaを握ると、もうどうにもとまらない。河原に来ると時間を惜しむように投げ続ける山本さんでした。 昭和記念公園で開催されたハンドランチ大会でSophiaを飛ばす加納さん。Sophiaの開発では、多くのコメントをいただきました。(写真は、木村クラフトのHPよりいただきました。) 加納さんの城ヶ島のツーショットは、なかなか美しい。。

平田さん、加納さんのコメント

Wing:
(1) 構造
a. シャーレ構造の主翼

主翼は、Radina DLGと同様、シャーレ構造ですが、その薄さには圧倒されます。ライバル機のFireworksも主翼が、薄いため、製品には主翼にねじれがあるものや、主翼の剛性が確保できていないものも見受けられますが、Sophia DLGの主翼は、ねじれがなく、剛性も十分です。今まで、主翼の不良品もまったく出ておりません。この技術は、すばらしいの一言に尽きます。主翼表面塗料は、透明でなくエポキシに着色したものを使用しているようで、バルサの木目が薄くすけて見える程度に塗られています。後縁及び翼端付近はカーボンで強化されナイフのように鋭い動翼になっています。
Nikolov氏の機体は、軽いことに加え、その丈夫さには定評があります。とにかく頑丈な主翼で、フルスイングしても、主翼が壊れたという事例はほとんど聞いたことがありません。

b. 下ヒンジの動翼
エルロンは下ヒンジとしました。Radina DLGは上ヒンジで、ホーンは主翼下面に設けられ動翼部分を引っ張るので、理にかなっていますが、上ヒンジの場合、エアーブレーキがあまり下げられません。F3K競技が行われる以前では、DLG/HLGでは、エアーブレーキの必要性はあまりありませんでしたが、F3K競技では限られた時間内に何度もランチを繰り返し、滞空時間を競う場合があり、この場合、エアーブレーキをかけて、空中で静止させてハンドキャッチし、即、発航させるといった飛ばし方が多くなってきたため、下ヒンジ構造にしフラッペロンが大きく下にさげられるようにしました。下ヒンジのの場合、リンケージは、動翼上面にホーンを立て、引っ張る方式が合理的ではありますが、ホーンを主翼下面につけ、胴体から引っ張るという従来と同じ方法でも問題がないことが確認されたので、そのままとしました。

c. 半固定フラッペロン

Radina DLGの特徴である、半固定フラッペロンは、Sophiaでもそのまま引き継がれています。エルロン翼端側固定部分は上面のみ斜め切られています。ここを固定することで、高々度からの急速ダイブではフラッタリングを防止できますので安定した飛行ができるだけでなく、サーボギア破損を防止できます。また流体力学的には、キャンバーが中央が深く、翼端に向かって緩やかになるため、空気の流れは、ねじり下げ効果(Wash-out)があり、低速領域では、中央部分から翼端に向かう空気の流れを誘導し、翼端失速しにくくなります。Sophia DLGのフラッペロンの固定方法は、シンプルで構造強度があり、よく考えられています。F3B, F3J用の3mクラスの機体の場合、これと似たGiga flapという仕組みがありますが、程度は違いますが同様な効果があると思います。
d. 指かけペグとWinglet
Sophiaのプロトタイプでは、Fireworksを意識してか、左の写真のようなウイングレットをつけていました。ウイングレットの効果は、翼端における渦の発生を押さえ実質的なエアブレーキ効果を低減させることと、翼端における回り込みを減らし、翼端まで浮力がなくならないようにすることです。辞書には、「大型機の翼端渦を減少あるいは発生方向を上方に移動させることで空気抵抗(誘導抗力)を減らし、結果として燃費を向上させる効果がある。」と書かれていますが、小型機にも効果があるかどうかは不明です。DLGでは、単に「指かけ」としての役割しかない。製造工程では、Wingletを、主翼とは別にモールド(鋳型)成形して翼端にとりつけることになるが、製造工程にかかるコストは小さくない。このような「高価な指かけ」のために価格があがるのは、得策ではないと思われますので、Sophiaでは、不要との判断し、少なくとも日本向けには、Wingletは付けない仕様としてもらいました。

(2) 翼型
Sophia DLGの翼型については、メーカから明らかにされていませんが、Fireworksのような薄翼タイプの翼型になっています。F3Bの世界でもHelbelt Nobert の翼型に代表される薄翼は、耐空性、侵入性とも優れたすばらしい性能を発揮してくれます。このため、Sophia DLGは、侵入性がよいので、発航時の到達高度も高く、軽くなげても40m位はあがります。サーマルがあれば、50mくらい上がることもあります。Sophiaの翼型は、ラダー機のように、ゆったり飛ばすタイプの翼型ではありません。少しエレベータをダウンにすれば、スピードがあがり、エレベータをアップすればサーマルに乗る時のゆっくりした旋回スピードになります。このように自由にコントロールできるスピードのレンジが広い翼型です。F3J機によく使われたSDシリーズの翼型は、エレベータダウンしてもスピードがあがらず常にゆっくり飛びますので、巡航速度が遅いと感じます。(もちろん、ダイブすればスピードはあがります。)Sophiaの巡航速度は、SDシリーズのそれよりは、かなり早いので、飛ばし方も変えなくてはなりません。
(3)フライングテール
Sophiaのもう一つの特徴は、フライングテールを採用していることです。 フライングテールは、"all-moving tailplane"、”Pendulum tailplane(振り子尾翼)"とも呼ばれ、従来のヒンジ型のエレベータより、有利とされています。右図はD Althaus氏が行った古典的な実験で、全可動型尾翼とヒンジにより部分的に可動する尾翼の場合でどのような違いがあるのかを調べたものです。フライイングテールが有利とされているのは、フライングテールの移動角度が10度の場合と通常のヒンジ型の尾翼で10度下げた場合と比べると、揚力係数が変化が1.7倍あるという点です。フライングテール10度と同じ効果を得るには、ヒンジ型エレベータの場合、17度くらい下げなければならないということになります。実機においては尾翼を制御するためのサーボモータに対する負荷が軽減できることになりますので確かに有利であるといえるでしょう。しかし模型グライダーにおいては、フライングテールのわずかな動きが、揚力に大きな影響を与えることになりますので、フライングテールのコントロールロッドのたわみ、遊びは100%除去しないとかえってデメリットになってしまいます。

 フライングテールの移動角度が10度の場合と通常のヒンジ型の尾翼で10度下げた場合の違いは、もう一つあります。右図において、ヒンジ型エレベータにすると揚力曲線は左上にシフトしています。曲線自体の形は10度程度の下げ角では変化しません。迎え角をあげて行き揚力曲線の頂点より右に行くとストール状態になってしまいます。ヒンジ型エレベータの方が曲線の頂点が左にシフトしていることから早くストールしてしまうことがわかります。右図の揚力係数曲線に加え、抗力係数曲線というものがありますが、ヒンジ型エレベータの場合、迎角をあげて行くと抵抗力(Low Drag)領域から逸脱して翼型からくる抗力が極めて大きくなります。一方、フライングテールは、ヒンジ型エレベータのようにキャンバーがないので翼型による抗力はヒンジ型に比べ少ないという特徴があります。このメリットは、模型グライダーにとっては大きなメリットです。結論は右記のとおりです。

フライングテールについては賛否両論があります。SophiaDLGは標準ではフライングテールですが従来通りのヒンジ型エレベータも選択できます。
エレベータは通常ブレーキになっていますがフライングテールの場合は、ブレーキになる程度が少ないのです。また、少ない移動量で従来のヒンジ型エレベータと同等の効果がありますので、サーボには良いですが操縦者にとっては、エレベータが過敏になる傾向となります。これに対しては、送信機側で、エレベータのニュートラル付近にExponential設定をすることで過敏な応答を改善するといった対策が必要になります。
(4)標準トリム設定
a. 重心
標準トリムとよべるようなトリム値はありません。好みの重心位置に合わせ、それに適したトリムを設定すればよいと思います。 重心は、65-72mmです。写真では、65mmとしていますが、これは風の強い日のためのセッティングですので、かなり前になっています。穏やかな日の場合は、70mmくらいの方がサーマルを見つけ易いと思います。
b. エルロン・ニュートラル
Sophiaの主翼エルロンの中央部には、固定部分がなく、全体が動翼であるため、主翼中央部にはトリムの目安になるような固定部分はありませのでエルロンのニュートラルトリムを示すものがありません。エルロン・ニュートラルを見つける簡単な方法は、固定部分とエルロン部分を指でなぞり、凸凹がない位置がニュートラルです。あるいは、パイプ胴からの高さでみることになります。胴体からエルロン中央部後縁までの高さは約13mmです。

c. エルロ・ンディファレンシャル
フラッペロンには、ディファレンシャル・ エルロンを設定することができます。Sophia DLGは、標準的には2:1程度になります。ただし、Sophia DLGはエルロンが翼端で固定されているため、1:1でもよいようです。ただし、ディフェレンシャルは、翼型が上下非対称であることから必要とされるもので、これを無くし1:1にするというのは不合理な話ですので、1:1設定は、あくまで経験的なものですので、好みで設定してください。

d. エルロン・ラダーミキシング
エルロン・ラダーミキシングは、エルロンを下げている方向にブレーキがかかり本来意図する旋回方向と逆方向に胴体が向いてしまう動き(ヨーイング)を相殺するためのものです。風が穏やかな場合は、ヨーイング防止のためのラダーが効きすぎてしまい、いわゆる「こける」という状態になり、旋回中に大きく高度を失うことになってしまいます。従いまして、エルロン→ラダーミキシングは、多くても60%位です。
また、 ヨーイングが厳しく、例えば右旋回しようとしているのに、機体がスリップし右旋回せず、直進、ひどい場合には左に曲がってしまう場合は、ディファレンシャル・エルロンとラダーを併用することになります。ディフェレンシャル・エルロンは、ヨーイング防止だけだけでなくエルロンの効き方にも影響するので必ず設定しますが、エルロンラダーミキシングは、無理に設定する必要はありません。

エレベーター UP 8 mm, Down 7mm
ラダー Right 10 mm, Left 10 mm
エルロンディファレンシャル Up 10 mm, Down 5 mm(2:1)
Up 10 mm, Down 10mm(1:1)
エルロン→ラダー ミキシング 60%
サーマル フラップ 1mm down ,
(Elevator: 気持ち down)
SAL(Launching) フラップ 2-3mm up
重心 65-80mm(前縁より)尾翼の作りによりかなり幅があります。
全備重量 290-320g
Fuselage:

(1)胴体(ポッド)強度
胴体は、ポッド&ブームスタイルですが、ポッドは現在販売されているDLG/HLGの胴体の中では最高の強度、品質を備えていると思います。Radina DLGがサーボを立てた状態でインストールするのに対し、それをちょうど90°回転してそれに主翼マウントを載せた形になっています。Radina DLGのポッドは、ケブラーとカーボンを編んで作られており、いわゆる粘りのある胴体でしたが、Sophiaの胴体は完全なカーボン製ですので強度は上がっています。粘りは少なくなってしまう勘定ですが、カーボンをたっぷり使用し極めて強度があがっておりますので、デメリットを十分補ってあまりあるものに仕上がっています。

(2)ブーム

Pod&Boom構造はRadinaと同じで、BoomはRadinaDLGと共通です。Sophiaの胴体のBoomとの接続部分の外径がわずかに小さいので、ぴったりさせるには、Boomを少々切断する必要があります。

(3)サーボ搭載
 見かけよりは胴体内部は広いですが、搭載できるサーボは、厚さ8mmのOK模型のTS1002が最適です。これ以上厚いと苦労します。前に2個エルロン用サーボを、後ろに1列にエレベータ、ラダー用サーボを搭載します。
サーボ搭載は非対称であるため、常に、ニュートラルに戻ってくるようリンケージの動きがスムースになるようにする必要があります。

a. エルロン用サーボ
 サーボの搭載は、横積みですが、右図のように胴体の中心軸回りに回転させ少し斜めにインストールし、特に右エルロンロッドとガイドチューブ間の接触抵抗を少なくします。また、2本のエルロン用コントロールロッドは、右図中で赤く示された木材小片で機体に固定します。

b.
エレベータ、ラダー用サーボ
 後ろの1列は、段差をつけ少し沈ませてインストールします。前1列のエルロン用サーボのコントロールロッドと干渉しないようにします。

Servo Installation

(3)リンケージ
 Sophiaのリンケージは、一通りではありません。本ページの冒頭にある平田氏製作の部品セットを用いた場合の組み立て方法は、左図のとおりです。特にメーカ指定の方法はありませんので、自由に製作してください。
リンケージを行う上で最も注意を要するのが、エレベータリンケージです。エレベータはフライングテールですので、くどいようですが、遊び、たわみは100%取り除いてください。エレベータのコントロールワイヤーは、ブームの内側に低粘度の瞬間接着剤を垂らし接着するか、あるいは加納さんのように外側に接着するようにしてください。

(4)受信機
受信機は、JETI REX5、GWS等、ハンドランチ用に市販されているものならばどれでも良いですがやはり小さい方が搭載が容易です。

Drawing A Drawing B
Flight:

(1)獲得高度
Sophia DLGの獲得高度は、平均して40-50mといったところでしょうか。力のある人ならば、50m以上に達すると思います。獲得高度は、機体重量にも依存します。Sophiaの全備重量は、最低でも290g程度で比較的重く仕上げます。このようにすることで、加速しやすくなり、発航の途中で伸び悩むことなく、高く上がって行きます。もちろん重ければ良いというわけではなく、いわゆる抗力(抵抗)が少なくなるように、よくバランスをとることも重要です。発航時に主翼エルロンは約2mm程上げます。(ネガティブといいます。)発航時の摩擦音は、ほとんどなく抵抗が少ないことを示していると思われます。
主翼は、Fireworkで使用されたAG翼の modであるが、Fireworksと違い主翼はロバスト(堅牢)であり、ねじれもないので、全力でも安心して飛ばせます。尾翼はRadina DLGにも使用されている「発泡スチロールにグラスファイバー布をはり強化したカーボン補強の尾翼」であり、極めて軽量で丈夫である。

(2)滞空性
Sophiaは、ゆっくり飛ばすグライダーではないようです。ゆっくり飛ばしていると失速気味になることが多いので、速いスピードで空域を駆けめぐり、サーマルを見つけたら一気に旋回しサーマルに乗る。これを繰り返すような飛ばし方が適しているようです。大きなサーマルの中ではどんな機体でも上がるので比較にはなりません。前掲の月との写真に見られるとおりです。サーマルでない単なる横風の中で、横風のエネルギーを機体の上昇につなげられるかは、チャレンジ目標です。フィ
ールドの条件を見て、サーマルをハントする結構、攻撃的な機体だと思います。侵入性、耐空性に加えNikiの機体の特徴である頑丈さ、価格など総合的に見て、非常に完成度の高い機体だと思われます。

(3)揚力尾翼
Sophiaの水平尾翼は、非対称翼型でフラットではありません。プロトタイプでは垂直尾翼も非対称翼型を採用していました。垂直尾翼はニュートラルの位置ではまっすぐ飛ばないので対称翼型になりました。しかしながら水平尾翼は非対称翼型です。この水平尾翼をどのようにとりつけるかで、Miboモデルとも意見交換しました。ヘリコプター(右の写真)やフライングテールの旅客機(YS-11)は、主翼とは逆についています。所沢の航空記念公園に行けばYS-11が展示されていますので、右の写真と同様であることがわかります。実機において水平尾翼をこのようにつける理由は、情報がなくわかりません。ハンドランチでは、右の写真のように下につけるべきでしょうか、あるいは上につけるべきでしょうか。未だに結論がでません。以下に比較表をつけておきます。

比較項目
発航時 尾翼に働く揚力は、機首上げ方向に働く 尾翼に働く揚力は、機首下げ方向に働く
水平飛行

常に機首上げ方向に揚力が発生するため、主翼の迎角を大きくしたことになるので揚力係数が増えると同時に、同じサーマルに敏感になる。
サーマルに入った時に頭上げになるので、飛ばしにくい。

揚力を得る部分の面積が大きいので揚力が大きくなり、耐空性の向上が期待される。

Technical Notes:
Sophiaの量産に先立ち、プロトタイプを作成してもらいました。プロトタイプにはウイングレットがついていること、また上ヒンジバージョンしかなかったこと、フライングテールのピボットの位置が比較的後ろであったことなど、種々の特徴がありましたが、プロトタイプを実際に飛ばし、メーカにコメントをフィードバックしました。私どもにとっても貴重な経験でした。