NYX /F3B/F3F/F3J
主翼 全長 3,200mm
全幅
NA
翼型 HN354SR(Norber Habe)
翼面積 65dm2
翼面加重 29.6-61g/m2
構造 Carbon D-box or Full Carbon
分割形態 3 pieces
尾翼 尾翼タイプ C-Tail(十字尾翼)
翼型,翼面積 HN315S,6.9dm2
その他
全備重量

LightVersion: 1,950g
D-tube version(F3J): 2,000g
- Ballast:480g
Carbon Version(F3F/F3B):2,300g
- Ballast: 1,000g

Radio gear
6 Servos, 7 Channels over
胴体長
1,490mm

NYXは、2001年に販売開始されたばかりの F3B/F3F(Dynamic Slope Soaring)/F3J用のニューモデルです。 最近では、ニューモデルが巷にあふれ、どこでも買えるかのように見えますが、これは実態ではないと思われます。今、実際にあるのは、過去何年か前には無かった多様な選択になったということではないでしょうか。ここ数年の傾向として始まったばかりですが、F3FやF3Jモデルの分野では、モールド機設計において、これらの機体に特化した設計が盛り込まれるようになってきました。そしてF3JやF3Fという競技に特化し、そのタスクにおいて秀逸した性能がでるようなスタイルに向ってさらに進化しようとしています。すべてのタスクに優れた性能がでるような設計をすることは、かなり難しいことだからです。一方で、F3B機には、"all-rounder"もしくは、3つのタスクで平均以上の性能をもつことが要求されています。しかしながら、NYXは、これに成功し、サーマル、距離、スピードのすべてに対応できるF3B機です。
BretaモデルのNYXは、F3Bとつかみ所のないF3Jマーケットの隅で宣伝されている。しかしながら通り一遍に見ただけでも、F3F(スロープ)でも十分戦える機体になるだろうと思われます。 概して標準的なF3Fの機体です。 3mの機体は、スロープ専用に設計されているそうです。 (Quoted from Quiet Flight International 53 Oct./Nov. 2001) (十字尾翼のF3Bにおける適用性などは、本ページ末のコメントを参照)

(宮川さんの日本輸入初号機へのコメント/2002年1月13日)

2001年末にNYXが日本にも到着しました。上里の宮川さんに初号機のテストをお願いし2002年1月13日に初飛行をしました。結果は、このページの下の方に報告しています。機体の第1印象は、思ったより完成度が高いことです。心配したノーズの強度はノーズコーン方式と比べても十分硬く、定点で地面に差しても大丈夫(?)と思われます。最近のF3B機の主翼は、Estrellaに代表される薄翼、高剛性翼が特徴ですが、NYXの翼型であるHN354SRは、BRETA modelがStarLiteで採用していたSAシリーズの翼型に似ており、薄翼です。剛性については、現在のバージョンではかなり撓むようで、タスクCのターンの時に必要な跳ね返り弾性が若干不足しているようです。メーカは、この件について真摯に対応してくれており、現在、改良版を制作中で、2002年2月あたりから強化版を提供して行く予定です。しかしながら、初飛行のベストタイムは、16秒とのことでした。C-tailは、透けて見えるような尾翼と軽い水平尾翼でした。C-tailと胴体の接続部分のねじれ強度は、かなり強くTasK Cで機体を回転したり、曳航で左右に振る場合でも、不安定さはないと思われます。何よりうれしいのは、全て配線済みで、主翼の9Pinコネクターまでインストールされていることです。詳しくは、下記のコメントをご覧ください。

設計・製造
BRETA model (チェコ共和国)Jaroslav Hlavko Martin Ralis
設計図
価格/販売店
RC-Sailplane.com 価格(諸経費を含む。ただし、国内輸送料別):
D-box Version Kevlar/carbon "D" tube & Kevlar/carbon fuse, ballast tube.
\97,000
Carbon Version All carbon skin, Kevlar/carbon fuse, large ballast tube.
\105,000
Ballast バラストは標準装備です。(単品売も可能)
\5,000
Mail to RC-Sailplane.com
DesignerとNYX
Hook
DB9Connector(male)
DB9Connector(Female)
Radio Gear

Aileron Servo Box

Airelon Linkage
(Lower hinge)
Flap Servo Box

Flap Linkage
(Upper Hinge)

Flap Horn hole
Stabilizer Tailplane Rudder Tailplane
Flap Horn
Stabilizer
Tailplane
Rudder
Tailplane
Miyakawa's NYX Miyakawa's NYX Miyakawa's NYX Miyakawa's NYX
水平尾翼用のカーボン・コントロールロッド
丈夫なノーズ
表面剛性は十分な主翼
透けて見える垂直尾翼
日本の初号機を掲げる
宮川さん


NYXへのコメント
Wing

3.2mという大きな機体は、不利にはならないことは、Scar、Trinitus、Iconが、それを証明しています。翼型は、他ではあまり使用されていないNorbert HabeのラインアップであるHNです。主翼は比較的新しい翼型であるHN354SRであり、十字翼は全てがHN315Sである。主翼、尾翼及び胴体は、すべてCNC技術で製造された鋳型(モールド)から成形されています。この技術は、所望の形状を精度を保証しながら量産する上では最高の技術です。十字型尾翼は、V-tailより、安定したヨー(yaw)の機体を生み出せると期待されます(原文ではshouldが使用されている)。(F3Jにおいて)他の良い点は、主翼端部の上反角よりは、むしろ主翼が多段上反角になっている点である。これは製造上、あるいは鋳型成形では難しいのですが、安定性を改善する上では価値があります。
カーボンバージョンとD-BOX Versionに加え、ファイバーグラスの軽量バージョンが、入手可能になる予定です。 3種のラインアップは、F3B,F3F及びF3Fの各クラスで良い成績を修めることでしょう。(Quoted from Quiet Flight International 53 Oct./Nov. 2001)

(宮川さんの日本輸入初号機へのコメント: 2001/12/29)

Task Cのターンの際の小気味よい跳ね返りは、主翼のスパー方向の強度から得られます。主翼端の一方を地面に他方を手に持って上下に振ってみると、少し柔らかそうな感触で、宮川さんの話しでは、EstrellaやChampion等の主翼と比べると若干強度は少ないようです。これは値段相応というところでしょう。ただし、表面剛性(さわった感じ)は、ガチガチでこれは戦えそうという感触です。主翼は3分割されていますが、かんざしは、少し細めでEllipse の初期のかんざしのような太さということです。 これがスパー方向の強度にどの程度、影響を与えているかは、飛ばしてみないと分かりません。

この機体は、最初から、翼型としてHN354SR(厚さ8.05%、カンバーは、1.64%)を用いて設計されています。1,900gのLight versionでは、カンバーをニュートラルより少しさげた方が滞空競技ではよいと思われます。(Quoted from F3X.com)
Norbert Habe氏は、ヨーロッパでは有名な翼型の理論家です。彼の翼型は、ドイツ、オーストリアで特に好まれています。彼の論文は、ドイツのAufwind誌によく紹介されています。翼型のパラメタは、風洞で計測されたものではなく、SielemannとEpplerの数値モデルを用いてシミュレーションした結果です。

Fuselage

着地の際に、頻繁と胴体を折ってしまい、胴体強化のため大きな醜い包帯をぐるぐる巻いたかつてのひどい胴体に比べれば、洗練された、モダンな胴体の鋳型成型技術により、容易にもっとよい胴体を期待することができる。V-tailはその1つの容易な答えであった。しかし、V-tailの機体は、端的に言って十字翼やT尾翼の機体と同様には飛行しないのである。(Quoted from Quiet Flight International 53 Oct./Nov. 2001)
バラストは、オプションは、F3Bやスロープ用では、増やされます。F3F・F3B用は、F3J用に比べ大きなバラストパイプを装備しています。(Quoted from Quiet Flight International 53 Oct./Nov. 2001)

(宮川さんの日本輸入初号機へのコメント: 2002/1/13更新)

構造:Breta model のカリスマ等のF3Jの胴体は、軽量化のためか、かなり柔らかくできていましたので、少々心配しましたが、NYXの胴体は、十分硬く、Task Cのターンでも問題はなさそうです。キャノピー仕様は、米国市場を意識したのではないかと思われますが、品質はよく、簡単に取り外しができます。ノーズを握ってみるとかなり硬くノーズコーンに引けをとらない強度です。C-tail胴体で最も問題になるのは、尾翼部の胴体を主軸とした回転方向のねじれです。曳航時に横風を受け尾翼部が回転すると思いもよらない方向に飛んでいきます。ScarのC-tail付け根は写真で見てもかなり細く、実際飛行中にも、かなりC-tailと主翼の位置関係がずれてしまうようです。 NYXのC-tail付け根だけでなく胴体自体がかなり太く丈夫です。まだ飛行していないのでなんとも言えないのですが、ねじれについては問題なさそうです。
垂直尾翼は、Ellipse IVのV-tailのように透けて見える程、軽量化されています。同様に水平尾翼も軽量化されていますが、スパーが短く根本から数センチまでで、水平尾翼端付近まではのびていません。また、F3B TaskCでは、水平尾翼のコントロールロッドが重要ですが、フルカーボンバージョンでは、上の写真にあるように太いカーボンロッドになっており応答性は改善されています。

メカ積みコクピット内は一寸見ると広そうなのですがJR1100mAhは入らず700mAhの俵型の電池 しか入れることができませんでした。エレベータサーボに標準型のJR NES4131を積んだこととノーズバラスト250gが必要だと思われたのでラダーサーボはマイクロサーボを受信機の脇に貼り付けなければなりませんでした。翼のメカ積みはカバーがいろいろ用意されているので簡単でしたがホーンの穴の位置にばらつきがありストロークを合わせるのが一寸面倒。CGはスパーの10mm後ろで、フックは一番前にセットしました。飛行重量は2300gになりました。以上でメカ積みは4〜5時間というところでしょうか。

Flight

NYXは曳航時に強い張りがあります。足が長く、なめらかに着地します。NYXは、よい操縦性と効率的な主翼をもっています。私(F3X.comのTom Copp氏)は、D-BOXバージョンを今もっていますが、HN翼の能力を調べたいと思っている人に対して、その高性能ぶりを見せてくれます。モデルキットには、リンケージワイヤが既に内蔵され、主翼にはコンピュータのDB9ピンコネクターとそれに接続された配線がインストールされています。F3J用の機体には約480gのバラストが搭載可能ですが、カーボンのF3Bモデルの機体には、より大きな バラストチューブが組み込まれる予定になっています。(Written by Tom Copp of F3X.com)

(宮川さんの日本輸入初号機へのコメント: 2002/1/13)

タスクA

60度位の右からの横風5mの中、1発目はフライグテールのニュートラルが判らずかなりのアップトリムだったため20mで脱索、そこからトリムを取って着陸、侵入性はかなり良いようです。再度挑戦、今度はうまく上がっていきましたが、サギッタのように見えるくらいの懸念された主翼の撓みがでて、早めに離脱、しかしズーム後ののびはかなり良いように感じられました。サーマルに敏感に反応しサークリングはザンティパ(F3J)のようにラダー・エレベータだけでくるくる良く回ります。失速特性はよく、かなり速度を落としても急激には失速しません。また失速しても十字尾翼のせいかスピンには入りませんでした。4フライトし、斎藤さん、西村さんにも操縦してもらい、昼食。
タスクC

90度位の右からの風5m。付属のバラストをフルに搭載(約1Kg)。トリムが取れていないことと各舵の舵角が多すぎたので1発目は18秒台、2発目20秒台。トリムと舵角を減らし3発目、4発目は17秒台、5発目16秒台で終了。主翼は良く撓みますが、風のためか高度はまあまあ取れました。スピードの乗りはかなり良くどっしりとした感じ(スケール機が高速で飛行しているときに空気が荒れていても胴体はまっすぐに飛ぶ感じ)で4ラップ飛びきりました。セッティングはネガティブは無しで空戦フラップ5mm。

(2002年1月21日更新)