Niki's Radina DLG

Airfoil

項目
仕様
翼長
1495mm
翼型
Thermik 独自開発翼
翼面積
21dm2
翼面荷重
14.5 g/dm2
構造
Glass-Balsa-glass Sandwich
可搬性

1 piece wing、1volts

Tail
plane
翼型
flat (form coated by micro glass)
翼面積
3.6 dm2
etc.
全備重量
280-350g
装備
4 servos
胴体長
1,090mm-1155mm

Radina DLGは、Niki(Nikolay Nikolov氏)の設計・製作によるものです。彼は、Niki's Bettyに代表されるNiki's Familyの設計製造もしており、そのシャーレ構造の技術に裏付けれたこの主翼は、高性能、軽量、かつ丈夫で、ディスカスランチの傑作機です。円盤なげスタイルのDLGによる初期獲得高度は、やりなげ流のハンドランチより高いのですが、DLGの中でも、Radina DLGは、非常に高い高度が得られます。世界中で、非常に多くの人に愛され、日本では一人で2〜4機もリピートする人もいるくらいです。

ティッシュペーパーのように風とともにひらひらと飛んでいく、従来の軽量化されたハンドランチグライダーとは違い、DLGは、円心力を使って投げ上げるため、重い方が有利となることから、Radina DLGの全備重量は、250-350g程度で仕上げられているようです。従来のHLGは200gを切るための努力が重ねられてきましたが、DLGはその流れを変えてしまったわけです。また、Radina DLGの特徴は、フラッペロン(フルスパン・エルロン)の翼端が固定されていることです。フルスパンのエルロンを、胴体付近に設けられたサーボで駆動する場合、理論的にもフラッタリングを起こし易いのであるが、翼端を固定することでフラッタリング危険はかなり回避されます。(仮にエルロン端部を固定した場合であっても、サーボのトルクが足りない場合は、フラッタリングを起こすことがある。)、また、翼端を固定することの利点は、フラッペロンを下げた場合、ねじり下げ効果があり翼端失速の改善が期待されることです。翼端失速を起こした場合、後退翼や翼端を絞り込んだテーパー比の高い翼の場合、翼端失速は、ねじり下げにより改善されることが知られている。Radina DLGのような平面形の場合、捩り下げがどの程度の効果をもたらすかは不明であるが、いずれにしても、実感として緩やかに旋回することができます。

Radina DLGの最も大きな特徴は、総合的なバランスの良さである。すなわち、性能、強度、重量、価格、美観、デザインと種々の面からの総合評価は、非常に高い平均点を獲得しています。事実上、Radina DLGは、DLGの名機として不動の地位を獲得しています。


設計/製造
Nikolay Nikolov / Nan Ltd. (Bulgaria) Mail to RC-sailplane.com
価格/販売

RC-Sailplane.com(日本)/価格:27,000円 (ピアノ線、ガイドチューブ、指かけペグ付)(2006.12更新)
部品セット(初めての人のために全ての部品を揃えたものです。):価格4000円(税込み)(下の写真)注文生産

TUN Modellbau(スイス)
/  Highlight DLG 価格265 CHF
Franken Modellbau (ドイツ) / Highlight SAL 価格189EUR  


Gallery
airborne
Radina DLGのサイドビュー。長い胴体のため、発航でヨーが少ない。
この洗練された機体を見てください。
エルロンは、安定して動作し、コントロールしやすい。
Overview Cross Tail
赤のRadina(手は平田さん)きれいな機体が夕日に映えて一層、赤い。
Radinaのクロステール。水平尾翼をブーム(パイプ)の上に置くか、下に置くかは趣味の問題。水平尾翼を固定する際は、主翼をつけて、主翼に並行、ブームと垂直になるように気をつける。
水平尾翼の取り付け台はバルサブロックか、ロハーセルのブロックの周りをカーボンクロスで補強したものパイプに接着し、水平尾翼は台に接着したあと、ねじ止めし剥離を防止する。
Rudder Linkage
尾翼は、通常パイプにスリットをあけてそれに差し込む方が、向きのずれがなくてよいが、平田氏は、尾翼側切っている。 このモデルはコントロールロッドにカーボンロッドを使用しラダーホーンにかけるピアノ線と接続している珍しい例。(通常は、ピアノ線を使用しつなぎ目はない。) エルロンは、胴体横から出したピアノ線コントロールロッドをエルロンホーンに引っかける。取り外しも簡単。エルロンホーンは自家製でカーボンクロスで補強してある。
Fixed aileron end Carbon Reinforcement logo
エルロンの翼端側は、固定されており、これにより高速ダイブしてもフラッタリングの心配はないだけでなくねじり下げ効果をもある。指かけは、翼の左右どちらでもつけられるよう主翼端が補強されている。左利きの人にも朗報である。 胴体ポッド部分は、初期のモデルでは、フルスイングで力一杯投げると、よく胴体中央付近から座屈することがあったが、現在のモデルは改良され、本当に必要な部分のみが強化され、重量の増加を避けている。
Nikolayが、いつからか名前を入れてくるようになった。美しい機体にはぴったりの名前で気に入っている。
Flapperon
Radina DLGの最新モデルは、中央がカーボン補強され、中央部が押さえられている。このため、翼型としては旧型に比べ薄型になっている。
ねじり下げ効果がでる固定エルロン
Radinaの外観(他の色も頼めます)
Servo mount method examples
主翼の取付は、まず、フラッペロンのリンケージをつけ、主翼を後方に押すようにして前縁のダウエルを入れる。外すときは、リンケージワイヤーを指でつまんで外す。 Radina DLGの良さは、作り手の自由度があり、さまざまなサーボ搭載が可能である。上記、12例以外にも、搭載方法がある。 メカ搭載例(Flapperon用サーボも胴体に搭載する方法もあります。)すべてのサーボを胴体に積むことでマスの集中となり発航時ヨーモメントを減らす効果がある。
Parts set

Radina DLGに必要な部品(平田氏製作)
販売もしています。初心者やゴミを出したくない人には朗報

佐藤さんのすばらしい発航。離脱後、体の正面方向に機首が向いている。
Radina DLGは、本当に楽しめるグライダーです。
加納さんのコメント
Wing:
(1) 構造
主翼は、シャーレ構造で、発泡フォームは、入っていません。写真でみると無垢のバルサのように見えますが、Glass/balsa/glassのサンドイッチ構造になっており、F3Jと同様な構造です。軽量化のため、カラー塗料は最小限に留められています。Nikolayは、フリーフライト機の技術でハイライトシリーズのバルサ、フィルム張りの機体を世に送りだしていましたが、Radina DLGは、F3J(/F3B)機の製造技術を、逆に1.5mクラスの機体に使っています。フラッペロンは、F3J/F3B機に使用されているようなスキンヒンジです。
後縁はカーボンロービングで強化されナイフのように鋭い動翼になっています。RadinaDLGの翼型は、初期は、滞空用のSD7080modだったようですが、3回ほど翼型が変更されたようで、現在は、Thermik独自開発の翼になっています。Radina DLGは、販売を開始してから3回ほど翼型をマイナーチェンジしており、主翼前縁部分のカーボン補強により中央部が薄くなっており、全体としてはかなり薄翼になっています。このため、耐空性、侵入性とも優れたすばらしい性能を発揮してくれます。Nikolov氏の機体は、軽いことに加え、その丈夫さは定評があります。とにかく頑丈な主翼で、フルスイングしても、主翼が壊れたという事例はほとんど聞いたことがありません。Radina DLGが、初心者から上級者まで、広く受け入れられ、長く楽しまれている理由の1つには、この丈夫さがあげられます。ハンドランチは壊れやすいという印象があったもので、日々のフライトの後は、少なからず修理が必要でしたが、Radina DLGは、汚れを落とす程度しかメンテナンスする必要がありません。

(2)半固定フラッペロン
Radina DLGの特徴としてフルスパンエルロンは、翼端で固定されています。フラッペロンの動作に問題がないように固定部分は斜めになっています。 ここを固定することで、高々度からの急速ダイブではフラッタリングを防止できますので安定した飛行ができるだけでなく、サーボギア破損を防止できます。また流体力学的には、キャンバーが中央が深く、翼端に向かって緩やかになるため、空気の流れは、ねじり下げ効果(Wash-out)があり、低速領域では、中央部分から翼端に向かう空気の流れを誘導し、翼端失速しにくくなります。現在は、生産されていませんが、DJAeroTechのMonarch CXでフラッペロンを固定する設計が行われましたが、主翼下面にスキッドのようなものがつく形であまり洗練されたものとは思えません。Radina DLGのフラッペロンの固定方法は、シンプルで構造強度があり、よく考えられています。

(3)標準トリム
標準トリムは、加納さんによれば、以下のとおりです。エルロンは可変キャンバーでもあるため、エルロンのニュートラルトリムを見つけるが、最初の仕事になります。主翼エルロンの中央部には、固定部分がなく、全体が動翼であるため、主翼中央部にはトリムの目安になるような固定部分はありません。このため、パイプ胴からの高さでみることになります。重心は、従来のHLGとは異なりかなり後ろにあります。下の写真にあるように主翼固定用ねじのすぐ前方で、前縁から72mmあたりです。ノーズバラストは20g程度で十分です。風の強い日は、多少追加する必要があります。
標準トリム(加納さん提供)
エレベーター +5 mm -5mm
ラダー +10 mm -10 mm
エルロン Up 12 mm, Down 5 mm
フラップ +2 mm, -2 mm
エルロン→ラダー ミキシング 80%
サーマル フラップ Down 2 mm
SAL(Launching) フラップ Up 3mm
重心 73mm(前縁より)
Center of gravity
フラッペロンには、ディファレンシャル・ エルロンの設定が必要で、F3J機では上:下=3:1程度が普通ですが、Radina DLGは、2:1程度になります。受信機は、5チャンネルあれば十分ですが、送信機は8−9チャンネルのものでないとプログラムできないと思われます。futabaのFF8-FF9相当の送信機では問題なくプログラムできますが、それ以下では実績がありません。
Fuselage:

(1)胴体(ポッド)強度
胴体は、ポッド&ブームスタイルですが、ポッドは極めて薄く軽くできており、特にノーズコーンは、ぺらぺらで、握れば簡単につぶれてしまいます。初期のポッドは、補強がなされていなかったので、自分で内部壁面をカーボンクロスなどで補強する必要がありました。一般にDiscus launchの際には、遠心力の方向に力が加わります。このため、錘やサーボなどが集中する胴体ポッド部分には、円心力が働いている間は、外側に、力が働き、手を離した段階では、その反動で胴体は元に戻ろうとして首を振るような動きになります。このため、初期モデルにおいてはポッドが弱かったことと、フライヤーも投げ方に無理があったことから、、胴体の固定部分から折れる事故がありました。しかしながら、徐々にメーカも胴体を厚くしたり、上記写真に見られるように、要所要所に補強を加え、現在では、ポッドを折る人はほとんどいなくなりました。胴体補強に加え、フライヤーも発航技術も改善され、無理な発航をしなくなったことも大きな要因です。

(2)サーボ搭載
サーボの搭載方法は、みなさん様々です。百聞は一見にしかず。みなさんの搭載例をご覧ください。ポッドとブームは、別々の状態で、販売されますので、自分で接着する必要がありますが、この接着は、瞬間接着だけでは無理で、必ず、マイクログラス等で接合部を巻いて補強することを忘れないでください。さもないと、ここが回転し、機体を破損することがよくあります。

(3)リンケージ
エレベータ及びラダーのリンケージは、0.6mmのピアノ線とガイドチューブで行う方法が安定した制御性能が得られるようです。ストリング・リンケージを使っている人もいますが、大きな力のかかるDicus Launchの場合、たわみがでる可能性もあります。またストリングリンケージは軽量化が可能ですが、DLGの場合、軽いと逆に慣性が小さくなるため、一般に重い方が有利であること整合しません。

Flight:

(1)獲得高度
まず、びっくりする程、高くあがります。平均で40m程度は、あがります。風がある程度あれば、50mあがる時もあります。左記のグラフは、加納氏のフライトデータです。獲得高度は、50m近くになっています。

(2) 長いフラッペロンの効果とエルロン→ラダーミキシング
翼端付近で固定された長いフラッペロン(エルロン)は、僅かな動きで、よく効くので、あまり大きく動かす必要はありません。ただし、よく効くがために横滑りを起こすことがあります。例えば、右に旋回する特、右エルロンを上げ、左エルロンを下げるわけですが、左のエルロンの下げが大きすぎる場合、これがブレーキになり、本来の旋回方向とは逆に、左側に曲がろうする力が働きます。この時、機体は左に横滑りするような現象が起こります。これは、いわゆる、ヨーイングと呼ばれるものです。これをキャンセルするためには2つの方法があります。1つはエルロンディファレンシャルをつけ、エルロンの下げ幅を小さくし、エルロンの上げ幅より小さくなるようにします。経験的には、上げ幅の1/2〜1/3程度です。また、もう一つは、エルロンからラダーにミキシングをかけ、右にエルロンを切った場合は、ラダーが少し右に切れるようにします。エルロンの動きを100%とすると、Radinaの場合は、5%もかけておけば十分です。これは機体によって40%位必要な場合もありますが、これが強すぎると急旋回になり、いわゆる「こける」という状態になり失速しますので注意してください。これは、大型機では常識的な事ですが、1.5mクラスのグライダーでもエルロン機の場合は、効果があります。
旋回の場合、「エルロン→ラダー」ミキシングを解除して、ラダーを右に打つときエルロンを左に少し切って姿勢を戻すような飛ばし方(いわゆる、当て舵)をする方が安定した旋回ができるようです。

(3)滞空性
最も興味のある滞空性については、極めてよい。ただし、従来のハンドランチに比べ、巡航速度が速いので、大きなサーマルを捜して次々に移動して、新しいサーマルをキャッチするような飛ばし方できる機体です。サーマルを見つけたら大事にして、外さないようにすることは、もちろん必要なことではあるが、1つのサーマルにこだわらず、サーマルがなくなったら、高速であるため、足が長いことを利用して新しいサーマルを探しに出かけられるわけです。サーマルが無ければ、従来のHLGより帯空性は悪いと思いますが、50mもあがれば、従来のHLGで捕まえられなかったサーマルがキャッチできますので、滞空時間は、おのずと長くなって当然と思います。

 

加納さん(2004年4月)のLOLO2データ

Technical Notes:

(1) DLGの由来
SAL:Side Armed Launch 横投げの意、DLG: Discus Launch Glider 円盤投げグライダーの意。Radio Carbon Art社のDVDによれば、シアトルソアリングソサエティのPhil Pearson氏の発案によるものとのことである。彼の友人のハロルドは、腕に問題があり、やり投げのように頭の上からグライダーを投げることができなかったので、腕の回転させて投げられる最大角度である270度しか使わないで横投げしていた。このため当時は、Side Launchと呼んでいた。当然ながら、低高度で漂っているだけであった。DLGのアイデアは、彼の奥方が、アクロバットクラスの小型機を砂嵐に投げたところ、砂嵐で持ち上がり、帰ってきた。そしてさらに投げるとより高く舞い上がったのを見た。(結局は、野茂のトルネードみないなものか?)その後、ハロルドと360度のDiscus Launchについて話し合った。最初の機体はアクロバットクラスの40インチ(1015mm)のエルロン機で行った。発航時のヨーをうち消すためにX-tailを採用した。初期の問題は、翼端をつかむため翼端がへこみエルロン端部が変形してしまうことであったが、ドイツチームのアイデアで指かけピンを使用することでこの問題を解決した。主翼のスパー構造は重要になった。このスパーの端にピンを付けるため構造の強化が重要視された。
Tim Johnsonは、 60inch(1.5m)の機体を製作したが、多段上半角の翼からV字上の1段上半角に変更した。多段上半角の場合、主翼が曲がっている部分の強度に問題があったからだ。あまり正確な歴史ではないが、概ね、このような履歴を経て、Radina DLGに見られるような形になってきたのである。

(2) Discus Launch
加納さんの研究されたDiscus Launch。離脱後、目標点を指さすフォロースルーがポイントだそうです。
加納さんの友人の大友さんが加納さんの発航フォームを写真にとっています。加納さんの研究熱心さは、脱帽の限りです。加納さんのDiscus Lauchの分析レポートは、一読すべき内容だと思います。

(3)製作方法
加納さんのホームページに、Radina DLGの製作方法が多数紹介されています。ここでは、平田氏の部品を使った製作法を紹介します。(未完なので、そのうちUPします。)