Estrella | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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グラハム・ウッズ氏のコメント(2000年5月)
エストレラは、フィッシャー工房の最新モデルであるが、これは、発明大賞ものの機体だと思う。私が革新的アイデアだと言っているのは 、主翼の製造方法にある。エストレラがどうやって作られたかは知らないが、各翼は、約33メートルのカーボン織布が使用されており、従来のカーボン・スパーは使用されていないようである。外殻シェル構造の翼の端は、複数のシアーウエッブ(下の最初写真にあるチューブ状に成形されたカーボン織布)で終端されていて、壊れやすいが、しかし強固な鳥の骨のような構造を彷彿させる。私の兄弟のデイビットが、 1年近くも待ってようやく手に入れた新しいモデルであった。私は、そのデジタル写真を撮った。 主翼は、 カーボンクロスを普通に積層した従来のモールド成形翼であると思う。しかしながら、スパーを用いた従来型の翼との違いは、カーボン織布の使い方である。カーボン織布を内側から膨らませられるようテューブ状にし、それを何本か並べ、その周囲を約7メートル以上のカーボン織布で包み込むように巻く。これらの外表面は、ウエットにし、下の最初の写真になるように、モールドの内側からチューブを膨らませる。(さもなければ、チューブ内を常圧に保持し全翼モールド(訳注:上下の主翼鋳型を合わせて一体化したものを指すと思われる。)の中にいれ、真空パックの中に入れれば同様な結果が得られる。)これは、あくまで推測である。 (Flexible tube technologyというらしい。Roman Vojtech) <Rc-sailplane.comのコメント> 日本では、エストレラをもっているのは、浅野さんくらいかと思いますが、実物をみると、下の最初の写真のようにカーボン織布を丸めてチューブ状にしてそれを固めることによりスパーと同等の強度を得るようにしているようです。チューブ状にされたカーボン織布は、主翼モールド表面に密着する形で固められているので、チューブの内側から膨らませたとしか思えない構造になっています。どのようにして主翼全面に配置されたチューブを膨らませたのかを知りたいものですが、簡単にはわからないところが発明と言われる所以でしょう。 |
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ウッズ氏のコメントの続きがあります。・・・
胴体 |
エストレラの胴体は、幅が32-40mmしかなく極端に狭い。AAサイズのバッテリーセルをその日のうちに手配し、5個の1100mAhのセルを詰め込んだ。Sub-Cサイズのバッテリは搭載不可である。胴体は狭いので受信機も細いものを用意しなければならないでしょう。この特殊な胴体は、私が今まで見た胴体と比べ、際だって良い品質というわけではなかった。モールド処理工程中のミスによるものと思われるが、ゲルコートにはまだ「泡」が残っていた。私はかつて同じミスをしたことがあるのでよく知っているのである。胴体は5つのモールドから複雑な方法で製造されたようである。(さらに2つのモールドが細いノーズコーン用に必要である。)胴体にはカーボン、グラス及びケブラーが使用されている。この結果、非常に軽く、かつ非常に強いものなっている。胴体のいくつかのパーツはサンドイッチ構造であると思われる。ノーズコーンは非常に薄く、どういう理由かわからないが、サーボ・ホーンが、ノーズコーンの内側をこすってしまう設計になっているようである。胴体の内部に張られたカーボン繊維は、受信電力を弱めてしまうので、デイビットは、アンテナを胴体の外にテープでつけている。エストレラ用のバラストは、入手可能であるが、鉛ではなく、直方体ブロック状の真鍮バラストである。搭載重量を変えられるようにアルミニウムの角形のチューブ・スペーサも入手可能である。最大でバラストは1kg強である。鉛を放り込めば約30%重くできるでしょう。 |
主翼 |
エストレラの主翼が、斬新であることは既に説明したとおりである。実際に主翼の中がどうなっているのかを見るには、主翼が壊れるまで待たなくてはならないようである(でも、待てないな。)主翼は、胴体よりはクオリティが良く、エルロンは下ヒンジで、フラップのプッシュロッドは主翼内に格納され、主翼上面にあるシュラウド(保護カバー)からホーンに突き出るようになっている。エルロンは非常に長く、フラップは極めて短くなっている。下の図面の写真をクリックしてみれば、私の言っていることがわかるでしょう。主翼ブレードを構成する6個のシアーウエッブ(訳注:チューブ状に成形されたカーボン織布のことと思われる。)と、異様に幅広く、テーパーになったスパーのキャップ(約40mm:最初の写真で、unusual sparと示された部分)を探してみてください。スパーキャップは、主翼の上下表面に厚く黒いスキンとして見えているものです。製造方法は、図面に、CFK Hohlschale (カーボン強化プラスティック中空外殻構造)と記されている。私は、主翼の中にサンドイッチ(たとえば、0.5mmバルサ)も使用されていると考えている。CFK-AFK Sandwich( グラス、アラミド強化プラティックサンドイッチ) という言葉も図面で使用されている。サンドイッチ構造にすると、薄いカーボンスキンにできるような「表面くぼみ」(内部を見られたことはないが、)ができるのを防止することができるからである。ところで、この主翼はすばらしく、ねじれに強い。私が感じたこのモデルの良い点の1つは、素早く容易に組立ができることである。すなわち、2ピースの主翼、2つの電気コードプラグ、1個の巨大な角形かんざし、1本ねじ、2ボールジョイントの尾翼である。このモデルは結局、3.2mの機体にしては2.2kgと軽く仕上がっている。たぶん軽すぎるかも? |
フライト |
デイビットは、最初の数フライトみる限り、このモデルは彼の期待したような飛び方はしないと言っている。3メートル強の翼長、2.3%のカンバーとフラップならば、誰でも滑空可能性は非常に良いと思うであろうが、Martin Weber Schock プロファイル(MW3)は、未知数のようである。F3Fの「曳航ウインドウ」は滑空可能性評価には良いテストである。デイビットの意見によれば、エストレラは、高度を得るためのレース前30秒ダッシュにおいては、その姉妹モデルであるV-Ultra Piccoに比べ劣っているとのことである。(あるいは、当日の上昇気流のせいかもしれないが。)これらの複合翼(complex tips)は、翼端ストールを許しやすくする。デイビットは、このモデルで、フリッキングを伴って思い通りならない場合が3回あったといっている。私は、このことは曳航策でもあると聞いている。また、今年、操縦と曳航を改良するため、エストレラのオリジナルに比べ、フラップとエルロンの幅が広くされたことも聞いている。モデルと翼型の最高性能を引き出すには、セットアップとトリミングに少し熟練を要すると言われている。(これは、デイビットが滑空可能性テストで失敗したことの理由かもしれない。) F3F競技会の最初のフライトでは、デイビットは未調整の機体でまあまあの5位につけた。彼は、エストレラは、すごく速い、たぶん彼のPiccoよりも速い、そして驚くほど安定していて、端のラインに向かって揺れることなく進むと言っている。F3Bの距離では秀逸であろう。さらに飛行重ねれば、もっといろいろわかるだろう・・・。 |
エストレラについてはデイビッドに聞いてください。: dwoods@cix.co.uk |
Estrella フライヤー |