Xantipaの組立て

Xantipaは、準完成機(ARF: Almost Ready to Fly)で、サーボの取り付け、リンケージと配線をするだけで飛ばすことができます。ただし、主翼のリンケージは、リンケージ・アームがすべて翼の中に収容される方式になっており、エルロン及びフラップに必要な可動角度を確保できるようにするには、エルロンとフラップのリンケージを、以下のような事項に気をつけ、慎重に取り付ける必要があります。

1. エルロンのリンケージ

エルロン及びフラップには、VOLTS社のWing Servoを使用すると取り付けが容易ですが、日本では高価であり、入手も容易ではありません。フタバ製のサーボでは、S3102という金属ギアが大きさ及びトルクの観点から最適です。

1.1 サーボホーンとエルロンのホーンの取り付け

サーボの取り付けは、図1のようにリンケージ・アームが主翼に完全に収容されるように取り付けます。サーボ・ホーンは、主翼上表面側に先端がくるようにし、リンケージ・アームを取り付けます。エルロン側は、キットに付属されている金属ねじをエルロンに既に開けてある穴にそってねじ込みエポキシで固定します。

 エルロンの取り付け位置では、主翼は、比較的薄く、サーボの取付台(枕)となるような板は入れられませんので直接接着するしかありません。この場合、サーボ交換が容易となるようカーボンクロスを主翼の内側に貼り、高純度エポキシで一旦硬め、その上にサーボを5分間エポキシで張り付けることをお勧めします。サーボをヒート・シュリンク・チューブで覆ってから接着する方法を以前は勧めていましたが、この方法は、真夏の炎天下に置かれる場合では、サーボにゆるみが生じてしまいます。また、F3Bのようなダイブを行う場合は、ブレの原因にもなりますので、お勧めできません。この方法はハンドランチクラスまでにした方が良いようです。

1.2 エルロン・リンケージの取り付け

 フタバ・サーボに標準で入っているサーボホーンに開けてある穴は、最も内側で、中心から約7mmですが、この位置では、リンケージ端部のクリップが主翼に接触しますので、この金属部分を少し削ると同時にサーボ・ホーンの穴を中心から6mmの位置に開け直す必要があります。サーボ・ホーンの穴の位置が6mmになるとホーンの水平移動量が少なくなります。この時十分な舵角を得るには以下のようにする必要があります。

 Xantipaは、エルロンが上部スキン・ヒンジ方式になっており、エルロン上げた時エルロンと主翼に間にできる隙間をスチロールでカバーするようになっています。エルロン・リンケージを通す時は、このカバーを写真上部のように少し切り取りとり、このカバーと「主翼下部表面のFRP部分」にリンケージ端部が接触しないようにしないと、エルロンを上げた時、十分な舵角が得られません。エルロンを下げる場合も同様です。カバー及びFRPを切り取る場合は、カッターナイフで慎重に切り取ります。

図1 エルロンのリンケージ

 

2. フラップのリンケージ

2.1 Landing-aid (クロー、あるいはバタフライ)

 フラップは、エルロンと異なり、クロー(あるいはバタフライ)の際、十分フラップを下げられるようにするため下側スキン・ヒンジになっています。Martin Simonsの "Model Aircraft Aerodynamics"という本に紹介されているクロー(あるいはバタフライ)では90度下げると書いてあります。アメリカでは、90度下げ、ブレーキが急激にかかるようにするようですがヨーロッパでは、45〜50度程度さげる例が多いようです。Xantipaのフラップは、下には90度まで下げようと思えば下がります。この意味では、Xantipaはチェコ製ですが、アメリカ的です。逆にフラップはほとんど上側には上がらない構造になっています。

2.2 フラップのリンケージ取り付け

 フラップ・リンケージは、図2-1にあるように、サーボ・ホーンは、主翼下面方向に突き出るように取り付け、フラップ側は、主翼の上面側に突き抜けた形でフラップのホーンにとりつけられます。これはエルロンの場合と逆になっています。ただし、リンケージ・アームは、エルロンと同様に主翼に完全に収容されます。

 フラップ・リンケージを押し出した時に、図2-2のようにフラップが下がるようになります。フラップを下げた場合、写真中央部には、エルロンの説明にあるカバーが見えます。フラップ側のホーンは、フラップの内部構造材(木材)に取り付けます。フラップは二等辺三角形ですが、この底辺に直角に立てることになります。フラップの内部構造材は、木ですので、リンケージ・アームを押し出す場合は良いのですが、引っ張る際には、ホーンが抜ける可能性があります。したがって、これを避けるには、図2-2のようにフラップに穴を開け、ホーン(付属している金属ねじ)の反対側をエポキシで固定するようにします。図2-2では、丸い部分がよく見えるようにしてありますが最終的には、塗装しフラットにします。写真では、この穴はフラップの上にありますが、見た目をよくするには、フラップの下に2×4mm程度の四角い小さい穴を開ければ十分です。重要なことは、フラップにとりつける金属ねじの穴の高さがヒンジより上に来て、クローが最大となった時、主翼下面に接触しない程度の高さに取り付けることです。しかも左右のフラップで同じ高さにする必要があります。

 リンケージ・アームの出口には、エルロンの説明にあったようなカバー(図2-2の中央部)を、切り取る必要があります。切り取りの際は、カッターナイフで慎重に切らないと図2-2のようにきれいには切れませんので注意してください。

 また、フラップ・リンケージを通す場合、図2-2の左側には、主翼のスパーがあるため、スパーに穴を開ける必要があります。スパーを内側からみるとカーボンの棒のように見えますが、角材の上にカーボンが張り付けてあるだけなので、簡単に穴が開けられます。この穴は十分広くとりリンケージアームやクレムスが引っかからないようにします。

 フタバのS3102を使用する場合、翼には十分な厚さがありますので、図2-1のように板を枕にして装着することができます。この際サーボ・ホーンの穴の位置は7mm(ホーンに予めあいている穴の位置)を使用できますが、リンケージカバーをつけた時にカバーにリンケージ・アーム端部が接触しないような厚さの板を使用する必要があります。サーボ・ホーンの穴の位置が7mmと大きくとれても、これは、予めあけてある穴の内、最も内側であり、水平方向の移動量は大きくありませんので、初期位置は、フラップの水平位置から2〜3mm上になるようにし、サーボ・ホーンの水平移動量の大半をフラップ下げに使用するようにします。このため、プロポ側でサブトリムを最大にしプロポのエンジン・コントロールレバーがゼロ位置でフラップが水平、エンコンを目一杯下げたときにクローが最大となるように設定します。

図2-1 フラップサーボの取り付け及び枕(主翼下面から見た図)
図2-2 フラップリンケージの取り付け(主翼上面から見た図)

図では、サーボは枕の上にねじ止めしていますが、主翼のカーボンスパー(図2−1の左側)にサーボの底面が来るか、さもなければ角材を入れクローをかけた時のサーボを支えるようにした方が良いと思われます。このため図2−1のようにサーボの軸が左ではなく右にくるようにサーボを寝かせた方がよく、またこうすることでリンケージが短くなりリンケージが翼の下面に接触しにくくできます。

3. ラダー・ベーターのリンケージ

ラダーベーターのリンケージは、ほとんどできあがっていますのでサーボとリンケージワイヤを図3−1のように接続するのみです。リンケージロッドは、一本の金属ワイヤにビニールの被覆がなされた電線ですが、ビニール被覆とリンケージ用の金具とを接着します。被覆を剥いて半田付けをする方法では十分な強度を保証できません。

図3-1 ラダーベーターのリンケージ

図3-1では、プラスチックのクレムスを使用していますが、金属製の方がより安全です。ただし、F3J機には、そこまでの強度が必要ではないように思います。また、図3-1ではクレムスが開かないようにビニールの輪を付けていませんが、是非つけてください。(写真を撮った後に付けました。)サーボの位置は、お使いの受信機に応じて適当な位置に装着してください。図3-1のスイッチの右下にある突起は、電源ONの時に点灯するネオンランプです。秋葉原で売っているのは、多くが6V用ですから何も抵抗を付けなくてもそのまま受信機の空いているチャネルに差し込めば、OKです。電源ON確認のために付けたのですが、その後でVoltSpyという電圧計(980円)が見つかり受信機の上に張り付けたのでネオンランプは機能的には重複していますので不要になりました。

サーボホーンの取り付けでは、ノーズコーンを付けた時にサーボホーンが接触しない位置を確認することが必要です。これは言わずもがなかもしれませんが・・・。

 

4. 配線及び主翼のコネクター

4.1 バッテリ

バッテリーは、1100mAh(単三1.2VのNiCdを4本俵型にしたもの)を使用します。1400mAh(単三より少し太め)のものを使用することもできます。1400mAhの方が胴体に翼密着します。

4.2 受信機

受信機は、フタバの9チャネルのPCMタイプを横にしても入ります。

4.3 配線

 主翼と胴体の配線の接続には、F3B、F3J機では、コンピュータのDSUB9ピンコネクターを使用することが一般的です。秋葉原の電気街に行けば、1組300円から700円位で売っています。いろいろ種類がありますが、自分で接続したり、離したりしてスッと抜けるものを選ぶと良いと思います。主翼のサーボは、4個ですから配線は4X3=12本ということになりますが、フタバの場合、電源線(赤と黒)は、すべてのチャネルで共有できますので、最終的には6本で良いことになります。この時、各サーボからコネクターまでは、電源線を共用せず、中央で各電源線を束ねる方がサーボ取り替えの際、容易です。エルロンサーボの電源線をフラップサーボ取り付け位置でフラップ・サーボの電源線に半田付けするとフラップサーボの取り替えの時大変です。ただし、フラップサーボのコネクターより中央側であれば手間は同じになりますので必ずしも中央で束ねなくてもよいです。)

図4-1 DSUB9ピンコネクター

電気系統の実装方法については、加納さんが詳細な手記を作成してくれましたので参考にしてください。

加納さんのコネクター、リード線の実装に関する手記

 

4. プロポの設定

 舵角の設定は、添付資料の数字に合わせればよいのですが、説明書通りにXantipaのエルロン、フラップの舵角をつけるのは、容易ではなく、説明書の数値は、先に説明したようにエルロン、フラップ取り付けを相当工夫して得られる最大値に近い数字です。ここで注意しなければならないのは、クローを最大にかけた時に、エルロンが動ける余裕が必要であるということです。さもなければ、着陸時に姿勢を制御できないことになります。このような場合は、クローの際のエルロン舵角は、説明書より少なく設定しても構いません。クローの時に機体が上向きになりすぎる場合は、エレベーター設定で調節します。クロー最大の時失速しないよう少し機体が下がるようにしておく方が安全と思われます。